不二をつい数時間前まで眠っていたベッドの上にゆっくりと下ろす。
温かい人間、オレの体温から引き離されて 寒かったのだろうか、
無意識的に手を宙に伸ばして何かを探し求めていた。
その姿があまりに可愛らしかったのでまたしても微笑みが零れてくる。
「ハイハイ、ここにいるからな」
不二が差し伸べた手を握り締めベッドの脇にある椅子に腰を下ろす。
無邪気な寝顔に心癒される感じがした。




目の前に赤い液体が広がる。
指先ですくったややどす黒いソレはヌルリと指先から滴り堕ちてゆく。
赤い、紅い風景。
差し伸べられた紅い腕。
力なく落ちた白い腕。
「手・・・塚・・・」
最後の力を振り絞り震えながら差し出した手は紅にそまり触れたオレの頬に色をつける。
「ご・・・め・・・ん」





ハッと目を覚ますと汗だくでベッドサイドにうつぶせになっていた。
「うたた寝してしまったのか・・・」
今だ握られたままの不二の手から視線を流し、不二の寝顔を再び見る。
すやすやと何の疑問も苦しみもなく眠っている。
こんな寝顔を見ていたら誰でも眠くなってしまうな、
と久方ぶりにしてしまったうたた寝を正当化させ、そんな自分に自嘲し不二の寝顔にそっとキスをし、
部屋を出ようとドアの方へ一歩踏み出した。
乾と会わなければならない。
そっと気づかぬように手を解いたつもりだったが不二は目を覚ましてしまった。
微かな声を漏らし、目をこすりこすり不二は身体を起こした。
「てづか・・・?」
眠そうな瞳がこちらを凝視している。
自分を置いてどこに行くのだとでも言いたげだ。
そんな目をされては不二をますます一人置いて行くことはできなくなってしまった。
「どこかにいくの?」
再びベッドサイドに寄り、不二の髪を撫で頭を抱きしめる。
「オレは何処にも行かない・・・。だから不二もどこにも行かないでくれ・・・」
「うん・・・」
今、腕の中にいる不二の温もりは本物だから・・・。
冷たい手足にも心臓が送り出す血液が巡っているのだから・・・。
もうどこにも行かせない・・・。
不二を抱きしめる腕にますます力が入る。
もう、乾と会わなければならないことなど どこかに吹き飛んでしまった。
今はただ、この腕の中にいる愛しい者を抱きたい。
ただそれだけ。
「不二・・・」
ギシリとベッドのスプリングを軋ませながらベッドへ這い、不二の薔薇色の唇に舌を入れ、掻き乱す。
見る見るうちに涙目になり、息もあがってくる不二を目の前にしてはもう・・・自分の中の獣に身を任す以外選択の余地は無い。
「てづか・・・」
これから自分がオレに何をされるのか察知した不二はそっとオレの背中にうでを回し
先ほどした濃厚な口づけをせがむように 目を閉じた。
不二の長い睫毛が綺麗な白い肌に影を落とす。
オレの心の中の影よりも数倍濃い影を。
「不二・・・」
不二の背中に手を回してゆっくりと押し倒す。
そっと、壊れやすい陶磁器を扱うようにそっと。
不二にずっと着させていたオレの白いシャツ のボタンを1つ開ける度に1つ口づけの痕を残してゆく。
痕が残るのはこの不二が生きている証だから・・・。
不二の命を愛しみながら美しい肌に穢れた痕を刻んでゆく。
刻んだ傷を癒すように舌を這わせ、不二を溶かしてゆく。
「不二・・・っ」
折れそうなほど細い腰をそれこそ折る気で抱きしめる。
不二がここにいるのだと、実感するために。
「もう、どこにも行かせない・・・!!」
オレに侵入され、その痛みと快楽から背中を反らし喘ぐ声の間から不二が一言零した。
「ぼくは・・・はじめから・・・ここに・・・いるよ・・・?」



TO BE CONTINUED・・・


 BACK