第一回目
プルルルル
部活が終わった直後の青春学園テニス部部室に不二周助のケイタイの着信音が鳴り響いた。
「不二ケイタイなんて持ってんだ〜」
何でも興味津々な英二が着替えながら不二に話しかけた。
「うん、ウチの父さん仕事で海外行ったり、
裕太も違う学校行ったりしてるじゃない?だからケイタイないと家族と連絡取れるときに取れないからさ。
持たされてるんだよね」
「いいな〜オレなんてピッチだよ〜。兄ちゃんも姉ちゃんも”中学生はピッチで十分!”ってさ〜。
不二んちがうらやましいよ」
「みんな一緒に暮らしてる英二の家の方うらやましいよ、
ごめん、電話でるから・・・もしもし?」
不二が電話に出たと同時に手塚が部室に入ってきた。
『もしもし不二か〜?オレ。忍足。』
「あ、忍足くん〜どうしたの?」
不二の電話の相手が「忍足」という男だと分かった瞬間、手塚の眉間にピクリと1つ皺がよった。
ほんの一瞬だったが。
『たいして用もないんやけどさ〜不二の声聞きたくなってな〜なんてな〜』
「忍足くん、何言ってんの〜あはは〜」
部室の中で話しているとは思えないほど不二は和やかに話していたため、
始めは「不二(先輩)に電話!?」と好奇の目で見ていた部員たちもしだいに興味をなくしていき
各々いつも通り和やかに談笑し始めていた。
手塚を除いては。
もともと手塚は部員たちの雑談に混ざるタイプではないのだが、
今の手塚はそれとはまた違う意味で一人、不二の電話内容に関心をよせていた。
いつもなら、明日の朝練の打ち合わせをするために話しかけてくる大石も今の手塚には話しかけることができなかった。
いつもの手塚とは明らかに違うのだ。人を射殺すような目つきで不二の方を手塚は見ていた。
その目線には深い憎悪と熱いなにかが同居していた。
しかしその目は冷たかった。他の人がこの手塚の目で睨まれたら冷水を背中にかけられたような気がするのではないだろうか。
大石はそんな手塚を初めて見たし、その手塚の目に恐怖感を持った。
そんな底冷えのするような目で何故手塚は不二を見ているんだろう、
そんな疑問が大石の脳裏をよぎったが今の手塚に話しかける勇気はなく、そっと思考を切り替えた。
一方不二は手塚がそんな目で自分を睨んでいることなど露知らず、忍足との電話を続けていた。
『冗談なしに不二の声聞きたかったんやって!
そんでな、明日とか不二ヒマか?どっか行かへん?毎日テニス漬けなんやろ?息抜きも大事やで?』
「明日?う〜・・・ん・・・大丈夫・・・だよ、うん。明日は部活午前中で終わるはず。ちょっと待ってて。
手塚!明日って部活午前で終わりだよね?」
不二が振り向く寸前に手塚は不二から目をそらしていた。
「あぁ、午前中までだ。テストが近いからな」
手塚は不二の方を見もしないで返事をした。さっきまで、あんなに不二に視線を送っていたのに。
「もしもし?午後から時間あるから大丈夫だよ。氷帝もテスト近いでしょ?一緒に勉強しない?」
『うわ〜不二マジメやな〜でもまぁ、ええわ。不二と一緒におられるならな。ほな、明日な〜』
「うん、バイバ〜イ」
不二が電話を切った頃には部員の半分近くが帰宅していた。
「不二、友人からの電話もいいがもう少し場所と状況を考えろ。オマエの着替えが遅くなったらオレの帰りが遅くなる」
「あ〜ごめん!!急いで着替えるからさ」
「そうしてくれ」
手塚はいつもの手塚に戻っていた。愛想はなくとも優しく温かい目で不二に話しかけていたのだから。
さきほど見せた冷酷な目の手塚は何処へ行ったのだろうか、と思うような優しい目つきで手塚は不二を見ていた。
TO BE CONTINUED・・・
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