絶対零度の少年たち





僕らはいつも答えをだし損ねている。
「大好きだよ、乾」
「あぁオレもさ、不二」
背中越しに降って来る言葉は絶対零度の冷たさを放つ。


好きな人の事を想うと苦しくなるなんて言い放ったのはどこの痴れ者だっただろうか。
僕らはこんなにいつも近くに居た。
お互いを好きだと想った。
苦しいことなんて何1つなかった。
一緒にいないことが不自然なくらいに感じたこともある。
そう、僕らは愛で繋がった関係じゃなく
互いの計算ずくの関係でなりたった「好き」だったから。
だから苦しくなかったのかもしれない。



本当の愛なんて知らない。



「乾は僕の何処が好きなの?」
「その言葉をそのまま返すよ、不二」
淡々と何の感情の起伏もなく二人の言葉は交錯する。
零れ堕ちた言葉がシャーベット状に肩に、髪に降り注ぐ。
そんな会話を哀しいと想ったことすらない。



僕らの答え、本当の愛。



「きっと僕らは似ているんだよ」
凍りついた言葉を溶かす夕陽が二人を照らす。
似ているから魅かれることも、その逆もある。
「あまり嬉しくない言葉だな」
未だ溶解されぬ言葉を乾は微笑んで口にする。
そして僕もそれを気にすることなく氷の結晶を形づくる。
「確かにお互い嬉しくないね」
そして初めて目線をあわせ、ふっと微笑む。
互いを嘲笑うかのように、溜息まじりの笑みを零す。



僕らの気持ち、本当の気持ち。



乾の傍に居ると、不二の傍に居ると、安心する。
心の氷が緩やかに解ける音が聞こえる。
けれど、
手塚を見ると、海堂に触れると、動悸が走り出す。
胸を掻き毟りたくなるような息苦しさがする。



どれが恋で、どれが愛で、どれが友情なのか。



僕らの答えは未だ凍りついたままだ。



END



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