パブロフ




オレはズルイ。



長太郎がオレがどんな反応をすれば欲情するかすべてを分かっている。
だからその通りの反応を示してみる。
あの長い指に触れられるように。
そっと頬にあの掌を。
いつしか慣れたあの大きな手に守られ、触れられるのが好きになっていたのだから。
あの指の感触が快感に変わったのはすでに記憶にもない昔のことの気がする。
その頃から長太郎は変わってなかった。




「宍戸さん、大好きですよ」
耳元で低く甘く囁く長太郎の声に過剰に反応してみる。
長太郎を見つめる瞳をいつもより熱っぽくしてみる。
ホラ、見ろ。
パブロフの犬のごとく長太郎がオレに欲情する。
「そんな目で見られたら・・・宍戸さん・・・」
優しく頬に手を差し伸べ、唇を重ねる。
優しくけれども強引にオレの口内に入り込む長太郎の舌。
そしてその強引さをもってオレの服にその手を滑らせる。
「宍戸さん、愛してます」
狂った機械のように繰り返し繰り返し囁く。



その声を聞きたいから。
その腕で触れられたいから。
その指で・・・。



「ちょ・・・長太郎っ・・・」
甘い声を喉から漏らしてヤツを誘う。
もっとしてくれ、と決して声には出さず。
長太郎自身が燃え上がるように。
いつだってオレより長太郎の方が夢中になるように。




オレはズルイ。




けれど




そんな稚拙な計算が読みつくされてるということなんてもうとっくに知っている。



だから




オレたちはズルイ。





互いの反応に、互いの熱に
ただただベルを鳴らされ唾液を垂らす犬のように
条件反射で反応するオレたちは  
ズルイ。








END





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