虚偽の証明
とっくの昔から知っていた。侑士の視線が誰を追っているかなんて。
ただオレ自身それを認めたくなくて。
侑士の吐く嘘があまりに優しくて。
「侑士、オレのこと好き?」
「何言ってるんや岳人。めっちゃ好きやで?」
笑いながら侑士は嘘をつく。
にこやかにオレを見ながら平然と侑士は・・・。
そしてお決まりのようにオレをその大きな身体で抱きしめる。
「ヤキモチ焼いてるんか?岳人はかわいいいな」
オレはその時の侑士の瞳を知っている。
決して彼には見せない虚構だらけのその瞳を。
侑士の視線を追うといつも跡部に行きついた。
真摯なまでの瞳。
オレに話しかけるときには決して見せない熱っぽい視線。
いくらオレのアタマが悪くたってその視線が本気かそうでないかくらい分かる。
跡部には本気で。
オレには遊びで。
熱にうかれたような瞳で跡部を追いかける侑士を同じような瞳で見つめるオレ。
ずっと昔から気づいていた。
侑士の心はオレにはない。
「侑士、オレより跡部のこと好きなんだろ?」
拗ねたフリをして聞いてみる。そんなフリでもしないと聞けなかった。
侑士を跡部に取られるより、侑士が自分から離れていくほうが怖かったから。
一瞬、侑士は瞳を揺らし、オレに微笑みかける。
「何言ってるんや岳人。岳人の方がめっちゃ好きやで?」
そしていつものようにオレを引き寄せ、その広い胸の中にオレを閉じ込める。
「最近かまってやらんかったからって拗ねとるんやな〜ホンマ可愛いわ」
視線を上げて侑士の目を見る。
それはいつもの視線で。
虚偽に満ちた瞳で。
オレに侑士の気持ちがないことを嫌がおうにも分からせた。
それでもオレは・・・
「ごめん、侑士。ちょっと寂しかったんだ」
嘘にまみれた言葉を、吐く。
侑士の瞳と同じように。
END
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