オレは犬を飼っている。
とてつもなく大きくてふわふわでとっても従順な犬。



I Love Dog



太陽がちょうどよく気持ちいい暖かさで柔らかい日差しを降り注ぐ。
その日差しを全身に浴びるととても心地よくて
おもわずコンクリートの屋上の床にごろんと寝転がって
身体の少しでも多くの部分にその太陽を吸収させようとする。



カンカンカン



うとうとと気持ちよく眠気が全身を巡ってきたところでオレの犬が
屋上に繋がる階段を駆け上がる音がする。
ホラ、あと数秒でここにやってきて転がるように走ってきて
オレに飛びつくぞ。



「宍戸さ〜ん!!」



5階分の階段を一気に駆け上がってきた長太郎は息を切らせながら
床に寝転がる宍戸のもとにそれこそ転がるように駆けつける。
「授業長引いてしまいました〜」
「アレ宍戸さんもう昼ごはん食べちゃいました?」
「宍戸さんってば寝てるんですか?」
「怒ってるんじゃないですよね?宍戸さん」
「宍戸さんってば!!」
宍戸の返答を待つどころか返答する隙も与えず長太郎が一人話し続ける。
それはまるで主人が長期間留守にして、帰宅したときの犬のはしゃぎようとまったく同じ。
しっぽをふって「かまってかまって」とこちらにすりよってくる。



「起きてるよ」
むくっとダルそうに宍戸が半身をあげ長太郎の顔をじっと覗き込む。
「え・・・?宍戸さん、オレの顔になんかついてますか??」
じっと一重のわりに大きい宍戸の目で見つめられて長太郎の顔は徐々に赤くなってくる。
そんな長太郎から眼を逸らさず見つめながら真顔のまま
「ワンって言ってみ?」
宍戸が一言呟き、
「え!?」
動揺する長太郎の顔を見て一人宍戸は屋上の床を笑い転げる。
「もう宍戸さんなんなんですかソレ!!」
赤いままの顔で長太郎が抗議する。
そんな長太郎の声など聞こえないかのように宍戸は笑い転げる。
「ワンって言ったら教えてやるよ」
うつぶせに寝ころがりながら上半身だけを起こして宍戸が長太郎を見つめる。
「・・・・・・・ワン」
なんとも納得いかない様子で長太郎が昼ごはんを口に運びながら
眼の端で宍戸を見ながら呟く。
「ハマりすぎ!!」
またしても宍戸は床に笑い転がりだした。
「ワン」と素直に言った長太郎に犬の耳としっぽが生えているのを想像してツボにハマってしまった。
床に転がって人を指差して笑う宍戸に不満げに長太郎が言い返す。
「もう、何なんですか!!」





オレは犬を飼っている。
とてつもなくデカくて、おもしろくて、それでいてオレを飽きさせない。
しかも従順な。



END




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