「その手、離しいや」
「あ?何だお前?」
「俺のモンに手ェ出してええと思っとるん?」











never let you go













「お前悠長に何やっとんの?」
「別に好きで声をかけられてるわけじゃないし」
「平和主義の俺が人に手を上げてしまったやないか」
「わぁ、怖い」
「違うねんて。俺が殴るのと不二が殴るのは効きが違うんやて。不二は絶対血ィ流させるやろ?」
笑いながら週末の大通りを忍足と不二はは歩く。人で溢れかえった街では、油断したら2人とも流されて離れてしまいそうだった。それでも2人は手をつなぐというようなことはしない。
それもそのはず、忍足と不二は付き合ってはいないのだから。つまりは恋人同士でもなんでもない。でも、だからと言って友人関係でもなかった。
「僕は平和主義だよ」
「俺の方が平和主義やって。せやから俺が殴ったんやろ」
「失礼な人には体で教えてやらないと」
「美人は怖いわー」
周囲の視線が2人に向く。男女問わず、だ。
それもそのはず、どちらも人目を引くほどの外見。しかも実年齢より何歳も大人びて見える。忍足は闇色の長めな髪に長身だが均整のとれた体。落ち着いた深い色の瞳は見つめられただけで心が掻き乱されそうになる。
逆に不二は女性か男性か性別のつきにくい外見。母譲りの明るい金茶の髪に石でもはめ込んだように青い瞳。そして優しそうな外見。が、しかし実際のところは彼ほど怒りやすい人などいないだろう。
誰もが振り向く。その外見に対する好意や嫉妬を込めた瞳で。
信号が青に変わる。道路を渡るため、忍足が歩き出したときだった。
「不二?」
振り向くと不二が居ない。自分から2mは離れた場所で人につかえて動けないでいる。
「何やっとんの、お前」
人を掻き分けて忍足が不二の所まで行く。信号は点滅して変わりかけていた。
「ホラ、早うしいや」
忍足は不二の手をとった。そして自分のもとへと引っ張る。
「離して」
「嫌や」
無視して横断歩道を走り出す。
「もう、やめようや、こういうの」
そう言って振り向く。不二は目をそらした。
「俺もお前も好いとうやろ?そんなんもう言わんでも分かる。こうやって会っとるんやから」
「そんなの・・・」
「好きや。俺は好きや。せやから付き合おう。うんって言わな手離さへん」
一瞬不二は驚いて瞳を大きく見開いた。が、すぐにいつもの笑顔になる。
「嫌」
その腕に抱きついた。忍足がバランスを崩す。
「うんって言ったらこの手を離すんでしょ?だから嫌」
















end


みじかっ!!びっくりするくらいみじかっ!!こんな短くて手を抜いた話はじめて書いた(笑)