CHILD PRAY

其れは子供の独占欲と云うには余りに残酷で。
悲劇から救い出してと祈るは無謀。
彼の独占欲には祈りは届かなかった。


「英二、此処から出して」
鳥籠とも牢獄ともいえるような鉄格子の中。不二は以前にも増して白くなった手を鉄格子の間からそっと差し伸べ英二の頬に自らの掌を重ねた。
汚らわしいものが触れたかのように英二は不二の手を振り払う。
「触るな」
獣のような獰猛な瞳で英二は不二を見つめる、いや、睨みつけると云ったほうが正しいのかもかもしれない。
鋭い視線で射抜くように不二を見つめる。その瞳にはもはや憎しみしか残されていない。
「手塚と喋るなって言っただろう?」
なじるように不二に話しかける。
「今日、手塚と話してたの見てたんだぞ?ん?」
今度は英二が不二に手を差し伸べる。そっと触れた不二は微かに震えていた。
「あれほど手塚と喋るなって言っただろう?」
「あ・・・」
不二の震えは微かなものから目に見えるほどになり、立っていられずにペタリと冷たい床の上に座り込んでしまった。目には涙が浮かび、透けるように色の白い肌は青ざめて蒼白へと変わる。


昨日の惨状を思い出す。
もうやめてくれと叫び、祈った。
只、届きはしない祈りであっただけで。
昨日殴られた口端は切れて青くなっていた。
手塚は不二のその傷口を心配して話しかけてきただけだったのだ。
蹴られた背中には薄ぼんやりと青痣が浮かんでいる。
確かに背筋を伸ばすと電撃が走るように激痛が走った。


「もう、手塚と話すなって云っただろ?」
すっと不二の頬からから顎に手を滑らせる。目はまだ怒りに燃えている。
「なあ?不二?」
すっと英二が微笑んだのと不二の上げた視線が重なり合う。
「英二・・・」
見上げた英二の顔が微笑んでいたのに安心したのも一瞬、顎にかけられていた手が素早く透ける薄茶の髪の毛を鷲掴みにする。
「痛い!!」
「あぁ、オレの心も痛いよ、不二?こんなにオマエのことを想ってるのにどうしてオマエはオレを見ない?
どうしてオレのことだけ見ない?」
ぎりぎりと髪の毛の軋む音がする。英二の掌から数本毟り取った不二の髪の毛が落ちてくる。
「分かったから!!分かったから英二!!もうやめて!」
「ふん・・・」
突き飛ばす形で不二の髪の毛を手から離す。その反動で不二が床に転がり、したたかに背中を壁に打ち付ける。
そっと鉄格子の中に英二が入ってくる。不二の前に立ちふさがる形で不二を見下ろす。
冷たい視線が降り注ぎ不二は怯えて壁際にすりよっていく。


この目の英二は危ない。
昨日もこんな目をして僕を殴った。
ホラ、今もまた手を振り上げている・・・!!
神様・・・僕を此処から出してください!!



数分経った頃、鉄格子の中には息を上げ、薄っすらと汗をかいている英二の姿と血だらけで床に倒れこんでいる不二の姿があった。


「オレだけを見てろよ、不二・・・?」
そっと気を失っている不二を抱き上げ、その額に口つける。


神様・・・どうか・・・英二が僕を愛していますように・・・。




END




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ね、念願の黒英二を書きました!!誕生日企画のくせに何一つ幸せっぽくない!!不二可愛そうすぎる!!(笑)