MILK TEA
ふと眼を覚ますとミルクティの色をした不二の髪の毛が顔に触れる。
目線を上から下へ流していくと、不二が子猫のように丸くなってオレの腕に抱かれ
すやすやと気持ちよさそうな寝息を立てている。
その柔らかい絹糸のような髪にそっと指を通し、軽く梳かす。
するすると心地よく指に絡まる其れはさらさらと指の隙間から逃げていく。
ミルクティが白い絨毯の上に零れるようだ。
白いシーツと不二の髪の毛。
甘い香りがどこからともなく香ってくるようでオレはたまらずベッドを出た。
不二が起きたら一緒にミルクティでも飲むとしよう。
カタン。
小さな音を立て、簡単なシャツを羽織った手塚は階下にティセットを取りに降りていった。
「う・・・ん・・・」
いやに艶かしい声を上げてベッドの上の不二が寝返りをうつ。
鼻を掠める甘ったるいミルクと紅茶の香りに気が付いてゆっくりと瞳を開ける。
「おはよう」
未だ寝ぼけ眼の不二の顔にキスを落とし、覗き込んできたのは手塚。
眠い眼を擦りながら不二も「おはよう」と言い返す。
低血圧の不二がすぐに身を起こすこともできず
(其れ以前に昨夜の手塚のせいで立ち上がれない、ということもあるのだが)
ベッドの中でもぞもぞと動き、ベッドの下の方に置かれた小さなテーブルの上に置かれた
こじんまりとしたティセットに視線を集める。
そのぼんやりとした目線で不二が言いたいことを察知し、手塚が不二の前でだけ見せる柔和な笑みを浮かべ細い蔓のようなティカップを不二の鼻先に差し出す。
ふわりと鼻先を掠める自分好みの甘い香り。
コクリ、コクリ
ティーカップはまだ手塚の手の中にあるというのに不二は紅茶を飲み始める。
「コラ、不二・・・」
「あ・・・」
手塚がたしなめた弾みで紅茶は白いシーツに滑らかに曲線を描いて零れていく。
そのミルクティの流れを追って不二の髪も滑るように流れ、不二の身体もベッドから緩やかに堕ちてくる。
「あ・・・」
するりと堕ちてきた不二は丁度よく手塚の腕の中に納まる。
不二のミルクティ色の髪の毛と、手塚の白いシャツ。
零れたミルクティと白いシーツ。
不思議と同じ色彩の中、二人は目をあわせると静かに笑いだし、手塚はそっと不二の顎に手をかけ
そっとその唇を塞いだ。
不二の唇、身体すべてからは彼のその容姿の如く、ミルクティの香りがした。
END